無作為化比較試験を利用した最近のプール解析により、5年以上アスピリンを使っている人々において、がんによる死亡率は約37%減少することが示唆されていたが、減少率はその結果より小さい場合があるかもしれない、という研究報告。
以前に実施されたプール解析のサイズは限られ、大規模な2件の無作為化比較試験は1日おきに飲まれるアスピリンのがん死亡率減少効果を示さなかったため、どの程度のアスピリン使用ががんの死亡リスクを下げるかについては不明であった。
主に高齢の男女100,139人を対象に、最高11年間追跡調査して、5年以上または5年未満アスピリンを毎日服用したときの効果を調べたところ、がんが原因である死亡の危険性はともに約16%低いことがわかった。定期的なアスピリンの服薬は、消化器系のがん(たとえば食道がん、胃がん、大腸がん)の死亡率を約40%低下させ、その他のがんの死亡率を約12%減らしていることが確認された。
今回の試験は無作為化されていなかったことから、がんの危険要因の有無により過小評価、もしくは過大評価されている可能性があることに注意が必要だという。しかしこの大規模な分析は、がん予防に寄与するアスピリンの服用期間決定に役立つと見込まれている。
低用量のアスピリンでさえ、消化管出血のリスクを大幅に高めると言われていることから、がん予防のためにアスピリンの服薬を推奨することは時期尚早であり、リスクと有効性のバランスを考慮するべきだろう、と研究者らは提言している。
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