米国で主要冠動脈イベントのリスク予測に広く使用されている方法論は、何百万人もの米国人のリスクを過大あるいは過少評価し、誤ったリスクグループに分類しているかもしれないと、サンフランシスコVA医療センターおよびカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者らが『一般内科学雑誌』に発表した。
米国コレステロールガイドラインでは、フラミンガムモデルと呼ばれる簡略版により10年後の心臓発作、卒中、その他冠動脈イベントのリスクを予測し、処置の積極度が異なる3つのリスクグループの内1つに分類するよう推奨している。フラミンガムモデルの原形は複雑な数式によりリスク算出しているが、簡略版は各リスク要因のポイント数に基づく方式。今回の研究はフラミンガムモデルの原形版とポイント制の簡略版を比較し、リスクの予測と分類に差が生じるか検討した。
対象者は米国国民健康・栄養調査(NHANES)2001〜2006年に参加した、米国脂質管理ガイドライン(NCEP-ATPV)診断基準のリスク階層に該当する2,543名(20〜79歳)。
簡略版において原形版と異なるリスクレベルに分類された対象者は15%、すなわち全国規模では570万人の米国人が簡略版を使用することにより異なるリスクグループに分類され、内訳は390万人は高リスク、180万人は低リスクのグループに誤分類されるかもしれないと研究者らは指摘する。
主任研究者スタイマン医師は、「現在では、より適正な予測が可能な原形版の複雑な数式もコンピュータで計算可能。これ以上簡略版を採用する理由はない」とコメントしている。
次世代のガイドラインは近々の公表が予想されるが、開発済みの新しいリスクモデルの簡略版も同様の誤分類を起こす可能性があるという。研究者は「多くの疾患で簡略リスク予測モデルの使用頻度は高まっているが、個々の患者への影響に注意しなければならない」と言及している。
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