人種とは、ヒト集団における生理学的なサブグループであり、民族性とは、人間社会における異なるサブカルチャーである。体重に関する人種と民族の属性の差はきわめてやっかいである(Winkleby et al 1998)。米国の多様な民族と体重の関連を見ると、多数派民族よりも少数民族は肥満になりやすい(Flegal et al 1998; Mokedad et al 1999; Deurenberg et al 1998)。民族間の体重差に対する遺伝、運動量、あるいは摂取カロリーの相対的な寄与率についてのコンセンサスはない(Kumanyika 1994, 1999)。体重に関する信念や態度も民族によって異なる。米国の少数民族の多くは多数派民族よりも、重い体重を受け入れる性格をもっている(Rand and Kuldau 1990)。すなわち、民族性は、肥満との関係を考える上で重要な特質であるが、なぜ、どのように体重と関連しているのかの問題を複雑にさせるものでもある。
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