また、便秘の判定には、症状をもとにした世界的な診断基準(Rome I 基準による機能性便秘:排便の際の緊張、便の硬さ、便が出きっていない感覚、排便頻度)が提唱されている一方で、今までの食習慣と便秘の研究では、このRome I 基準ではなく、もっぱら、そのひとの主観や便秘の一側面のみ(例えば、排便頻度のみ)に依存した便秘の評価が行われてきました。
そこで、ふつうに生活する日本人において、食習慣がRome I 基準による機能性便秘と関係しているかどうかを、食品に焦点をしぼって、調べてみました。
調査に協力してもらったのは、18〜20歳の女子大学生3,835人です。質問票を使って、過去1か月間に食べたものを詳しく尋ねました。また、この研究のために開発した質問票を用いて、Rome I 基準による機能性便秘を調べました。
この調査では、全体の26%(1,002人)のひとが機能性便秘とみなされました。便秘と関係がありそうな食品がいくつかありました。図1に示すように、ごはんの摂取量が多いほど、機能性便秘のひとが少なくなっていました。ごはんを主食とする集団において、ごはんと便秘の関係を示唆する研究は今までにもいくつかあり、もしかしたらほんとうにそうなのかもしれません。
そのほかの食品では、豆類の摂取量が多いほど、機能性便秘のひとが少なくなっていました。反対に、お菓子の摂取量やパン類の摂取量が多いほど、機能性便秘のひとが多くなっていました。しかし、これらの食品と便秘の関係を示す研究はほかにはあまりないので、まだはっきりとしたことは言えそうにありません。