オメガ3脂肪酸が様々な健康効果と結びつけられて考えられてきた。最近のレビューによれば我々が信じてきたほどの心血管性症状の低減には役に立たないらしい。がんのリスクを減らすことに関しては最近のシステマティックレビューが否定的見解を示している。
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オメガ3脂肪酸は心保護効果が信じられてきたが最近の発見は今までのそうした理解に対して難しい判断を求められるようになってきている。
2003年のDART2試験についての結果が発表後は抗不整脈効果が疑問視されるようになった。インビトロ試験と動物試験による抗不整脈効果に対するオメガ3脂肪酸の生物学的最もらしさにもかかわらず、狭心症患者と急性の心筋梗塞に対する治療方針としては区別することがおそらく賢明であった。なぜならば後のエビデンスが突然死に対する早期の保護をサポートしていたからである。
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一般の人にとってはオメガ3脂肪酸は体にいいといえ、神経や細胞の構成要素であり、エイコサノイドの生成や炎症性のサイトカインの調整の役割も果たすからである。痴呆症と認知障害に対する効果については現在試験中であり2008年に結果が出る。
極端なオメガ3脂肪酸の欠乏は神経障害を引き起こすことが知られ、この作用は菜種油などのαリノレン酸を含む植物油を摂取することによって反転できる。
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妊娠女性や授乳期の女性にDHAが重要な栄養素であることは間違いなく、胎児乳幼児の脳を形成するのに必要である。また乳幼児のアレルギー症のリスクを低減させる。妊娠可能性のある女性は週当たり0.4-0.8g/dのオメガ3脂肪酸を摂取することが望ましいとされている。が、それ以上は汚染物質の悪影響が懸念されるために推奨されていない。汚染物質とはダイオキシンやPHB、メチル水銀などであり、胎児乳幼児の神経障害等に結びつくおそれがある。
サンマなどは特に捕食性の高い魚であってこれら水銀が濃縮されている危険があり注意を要する。
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近年の状況はまさに矛盾しており確定的なガイドラインを決めづらいといえる。 健康上では魚と魚油の摂取を勧奨することは必要だが、それは一般的に摂取が低すぎるという前提の話である。漁産業が近年漁獲高を低下させてきており、魚の値段は上昇し低所得家庭における魚の消費を低下させる。栽培漁業が伸展しても長鎖オメガ3脂肪酸の持続的な供給源としては期待できない。
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