エキセメスタン(アロマシンと呼ばれるアロマターゼ阻害薬)は、ハイリスク女性(閉経後女性)で乳がんの危険性を著しく減らすのではないか、というニューヨーク州立大学バッファロー校の研究報告。これは乳がん予防薬としてのアロマターゼ阻害薬を健康な女性で評価する初めての無作為化臨床試験である。
中央値62.5歳のアメリカ、カナダ、フランス、スペインの女性4,560人を対象に、二重盲検比較試験を実施したところ、乳がんの危険性が高い閉経後女性(乳がんの病歴なし)で、エキセメスタンはプラセボ(偽薬)と比較して、乳がんの危険性を65%減少させた。
エキセメスタンは約3分の2の高リスク閉経後女性のがんリスクを下げることができた。プラセボ群で乳がんを発症したのは32人であったが、エキセメスタン群では11人であった。これはプラセボ群で1年に10,000人あたり55人が乳がんを発症するのに対し、エキセメスタン群では10,000人あたり19人が発症することを表しているという。
現在承認されている乳がん予防に使用される2種類の薬(タモキシフェンとラロキシフェン)は選択的エストロゲン受容体モジュレーター(抗エストロゲン薬)であるが、エキセメスタンはアロマターゼ阻害薬であり、両者は異なるメカニズムで作用すると考えられている。
アロマターゼ阻害薬は、閉経後女性でエストロゲン抑制作用が強く、初期の乳がん患者における再発予防効果がタモキシフェンより高いことが知られている。そのためハイリスクの健康女性で乳がん予防効果を調べる今回の臨床試験が開始された。
エキセメスタンを服用している女性において、平均3年の追跡調査で健康関連QOL(生活の質)の小さな変化はあったが、重大な毒性は発現していないことがわかった。乳がんを発症している何千もの女性は、再発予防のためにエキセメスタンをすでに使用している。今回の調査では、ほんのわずかな副作用と限られた有害事象しか確認されなかったことから、最初の乳がん発症を回避したいハイリスク女性への使用が将来的に可能になるかもしれない、と研究者らは期待している。
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