さまざまなタイプがある胸の痛み
胸の痛みといえば、だれもが狭心症や心筋梗塞を考えるのではないでしょうか。しかし、同じ胸の痛みといっても、痛みの起こり方によって原因が違ってきます。体を動かしたときに起こるのか、就寝中や安静時にしていても痛むのか。あるいはがまんできる程度なのか、痛みがすぐに治まるのか長く続くのかーー。こういった痛み方によって、病気の見当をつけることができます。胸の痛みで医師に相談する際には、次のことをメモして伝えると正しい診断に役立ちます。
1. どんな状態のときに起こったか
2. どんな痛みだったか
3. 体のどの部分に痛みが起こったか
4. 痛みの持続時間は
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寒さや運動によって起こるなら
に体を動かしたり、寒いところへ出たときに胸がキュッと痛む。この場合は「労作狭心症」が疑われます。この発作は、心臓の冠状動脈の一部が狭くなり、そこから先に血液が十分に送れず虚血の状態になったときに、心臓の筋肉から痛みを起こす物質が出されるために起こる痛みです。原因は冠状動脈の動脈硬化がほとんどです。急に体を動かすと、心筋が必要とする酸素を十分まわしきれなくなって,胸痛のサインが出されます。また、寒いところへ出たときには血管が一時的に収縮するため、狭窄部分の冠状動脈がますます狭められて虚血になります。痛みは数分で治まることが多いものです。
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寝ているときや安静時に起こるなら
就寝中に胸がしめつけられるような痛みで目が覚める。あるいは静かにしているときに痛む。こんなときは「安静時狭心症」が疑われます。この場合はほとんど就寝中、とくに明け方近くに多など、決まった時間に起こるのが特徴です。原因は冠状動脈のけいれんによって心臓の血液の流れが減少するためで、自律神経が関係しているといわれていますが、まだくわしいことはわかっていません。この安静時狭心症は見分けが難しいものです。何回もこのような発作が起きている人は、早めに専門医を訪れてみることをおすすめします。
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狭心症と心筋梗塞の痛みの違い
狭心症は一般に、それ自体では命に別状がある病気ではありません。しかし、病気が進行して心筋梗塞になってくると突然死の危険も出てきます。狭心症と心筋梗塞では、多くの場合、痛み方に違いがあります。
●狭心症
狭心症は傷みはがまんできる程度で、持続時間は数分から長くても10分ほど。痛みが起こる範囲が広いのが特徴で、胸全体がしめつけられるように痛んだり、肋骨の内側が圧迫されるような痛み、左肩から腕にかけての痛み、背中全体の痛み、胸の真ん中からのどにかけての痛みなど、実に広範囲です。ときには胸やけがすると訴えてほかの病気と間違えられることもあります。
●心筋梗塞
心筋梗塞はとにかく痛みが激しいのが特徴で、「胸を踏みつぶされたような」とか「胸をキリで刺されたような」という強烈な痛みを訴える方が大半です。ときには激しい痛みのために意識不明になるケースもあります。持続時間も長く、30分以上続くことが多いのです。
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心筋梗塞の予防を心がけましょう
胸の痛みがある場合、最も大切なのは心筋梗塞の予防です。予防の第一は、動脈硬化を防ぐこと。動物性脂肪をとりすぎない、適度な運動を心がける、禁煙を守る、ストレスをためないなど、ふだんの生活を見直すことが大切です。また、寒い季節の急激な運動にも配慮が必要です。冬場のゴルフは、準備運動を十分してから,無理のない範囲のラウンドをおすすめします。
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