血圧や高血糖などのメタボリックシンドローム関連要因(以下「メタボ関連要因」)が、循環器疾患の発症や死亡に大きく影響していることを立証した厚生労働省研究班の調査報告がこのほど公表されました。
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わが国のメタボリックシンドロームの診断基準は「肥満」が必須項目となっていますが、調査結果は肥満でない人でもメタボリックシンドローム関連要因に該当すれば循環器疾患の発症リスクが高まることなどを明らかにしており、生活習慣病予備群をターゲットとしたメタボリックシンドローム対策とともに、高血圧対策などを循環器疾患予防対策の柱に据えていく必要性を指摘しています。
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今回公表された調査は、生活習慣病の原因解明と有効な予防策の確立を目指して厚労省の研究班が日本各地に住む約10万人のデータを10年以上にわたって追跡している「コホート研究」の一部です。基礎データを収集するための最初の調査が開始されたのは1990年。対象地域は岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、東京都葛飾区、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の11保健所の管内です(ただし調査によって対象地域や対象者数は異なります)。
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メタボ関連要因についての調査では、
(1)血圧高値(収縮期血圧130mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上または降圧剤服用中)
(2)高血糖(空腹時の血糖100mg/dl以上または空腹時以外140mg/dl以上)
(3)低HDLコレステロール(HDLコレステロール男性40mg/dl未満、女性50mg/dl未満)
(4)高中性脂肪( 中性脂肪150mg/dl以上)
(5)肥満(BMI25以上)-と定義。
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そのうえでメタボリックシンドロームの該当者を
(1)メタボ関連要因のうち3項目以上あてはまる人(米国心臓協会<AHA>および米国国立心肺血液研究所<NHLBI>の基準、以下「米国基準」)
(2)肥満のほか2項目以上にあてはまる人(国際糖尿病連合<IDF>および日本の基準、以下「日本基準」)-の2つの基準を使って抽出しました。
2つの基準を採用したのは、肥満がある場合とない場合の結果を比較するため。日本基準では肥満がメタボ診断の必須項目であるのに対して、米国基準は肥満の該当、非該当を問わない点が特徴となっています。
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