葉酸サプリメントの摂取は確かに血中ホモシステイン濃度を下げる。
しかし肝心の、心血管イベントやがん、5年生存率との関連性はあまりないようだ、というメタ分析の結果が英国オックスフォード大学の研究者らによって発表された。
ホモシステインは、必須アミノ酸であるメチオニンの代謝の過程で生成される中間生成物であり、心臓や血管の病気のリスク因子とされてきた。葉酸やビタミンB12などの欠乏により代謝がスムーズに行なわれず、血中ホモシステイン濃度が上昇する。
高ホモシステイン血症は心血管疾患の原因でなく、結果であるようだ。
オクスフォード大学のクラークらは、2009年までに終了した8件の臨床試験をメタ分析した。対象者総数は37,485名、うち18,723名は1日0.8-40ミリグラムの葉酸を服用、残りの18,762名は対照として偽薬(プラセボ)または低用量の葉酸を服用した。
試験は平均5年間継続した。
37,485名中、9,326名に心血管系イベントが、3,010名にがんが、そして5,125名が死亡した。
葉酸服用群では血中ホモシステイン濃度が平均25%減少していたが、心血管系イベントの発症率は、葉酸服用群24.9%、偽薬服用群24.8%で、まったく差が見られなかったという。
また、冠状動脈疾患(11.4%対11.1%)、脳卒中(4.2%対4.4%)、がん(8.7%対8.2%)、死亡(13.8%対13.6%)にも差異が見られなかった。
研究者らは、葉酸のサプリメントの長期服用は、心血管疾患やがんや死亡率を挙げることのない安全なサプリメントであると結論した。
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